2007年03月27日

サクラの果実・葉・芽

■サクラの果実

サクラ亜属の果実はふつう球状で、はじめは緑色ですが熟すと
しだいに黄色、紅色、または黒色になります。
日本産の種ではふつう果実はすべて黒く熟します。
カンヒザクラ群では、紅色、または暗紅色に熟します。
シナミザクラではふつう紅熟しますが、栽培品種によっては
黄熟するものもあります。ミヤマザクラ群では、ミヤマザクラは
黒熟しますが、中国産の他の種ではほとんどものが紅熟します。

果実の最も外側は薄い外果皮におおわれ、その内側には
水分が多くてやわらかい中果皮(果肉)があります。
さらにその内側に内果皮の骨質化した固い部分があり、
これを核と呼んでいます。一般にはこれが種子と思われていますが、
正しくはこの核の中に入っている粒が種子になります。

果実の味は、甘味のほかに苦味、酸味、渋味のあることもありますが、
これらは群や種の特徴となる場合もあり、また同一種でも
個体によっては異なることもあります。完全に熟して苦味などが
残るものもありますが、鳥にとって苦味はいやな味ではないかとの
説もあります。サクラの場合、分布域の拡大は鳥に負うところが
大きいと考えられます。


■サクラの葉

樹木の葉には、単葉と複葉がありますが、サクラの葉はすべて単葉です。
葉身の形は卵形、倒卵形、楕円形など色々です。
ふつう1本の枝の基部にある葉では葉身の最も幅の広いところが
下半部にあり枝の先端にいくほどそれが上半部に移動する傾向があります。
葉身の表面はふつう濃緑色で、光沢のあるものとないものがあります。
裏面は淡緑色のことが多いですが、ヤマザクラでは
いちじるしく白色を帯びます。

葉柄の上部または葉身の基部には蜜腺があり、葉が若いうちは蜜を出すので
これを目当てにアリが訪れます。蜜腺の位置は群によって異なり、
マメザクラ群のマメザクラ、チョウジザクラ群、エドヒガン群などでは
ふつう葉身の基部にあり、ほかではふつう葉柄の上部にあります。


■サクラの芽

サクラの芽は、開花の前年に生じて冬を越す冬芽です。枝の先端に
1個の頂芽があって、これはふつう葉芽です。
枝の下方の芽はふつう5分の2のらせん生につき、葉芽または花芽です。
芽の外側は栗の実色で光沢のあるかたい鱗片でおおわれています。
その内側にはさらにやわらかい鱗片があります。
内側のやわらかい鱗片は芽が出ると同時にのび、開花時には
外側のかたい鱗片から外へと大きくのびている。
内側のやわらかい鱗片の内面には斜上する毛が多く、
これはすべてのサクラに共通です。外面はふつう無毛ですが、
エドヒガン群とカンヒザクラでは外面の上部に伏毛があるのが特徴です。
この特徴はこれらのサクラを片親とする雑種にもあらわれてきますので、
親を判定する際に有力な手がかりとなります。

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2007年03月26日

サクラの花

■サクラの花序

サクラ亜属では花は2個以上集まって花序をつくっています。
花が直接ついている柄を小花柄、小花柄が集まってついている柄を
花柄と呼んでいます。花序は日本の桜ではふつう散形状または
散房状ですが、同一個体でも色々な形が混ざっていることがあります。
エドヒガン群、ヤマザクラ群のうちのオオヤマザクラでは、
花序は花柄がほとんどない散形状で、これが群や種としての
特徴になっています。

日本産のサクラの中では、ミヤマザクラだけは総状花序をもっています。
これはミヤマザクラ群の中国産の種でも同様で、
この群の特徴になっています。


■サクラの花のつくり

サクラの花弁は、野生のものではふつう5個あります。
花弁の形は楕円形または卵状楕円形のものが多いです。
日本のサクラでは花弁の先端は凹形ですが、ミヤマザクラ群では
ふつう円形です。色は白または薄紅色のものが多いです。
サクラの花の中央には1個の雌しべがあり、1個の子房の上端に
1本の花柱がつき、その先端は受粉のための柱頭になっています。
花柱は無毛かまたは下半部に毛があり、またその毛は
斜上するものと開出するものとがあります。


■サクラの花の変化

サクラの花弁数の増加は、野生の個体でもしばしば見られ
半重弁のものから菊咲きのものまであります。
菊咲きは、ふつうの花の中心にさらに1個または
それ以上の花がつく貫生という現象の一種です。
この場合ですと、全体の花弁と雄しべの合計数が
著しく多いため、花全体が球形になることが多いです。

雌しべはふつう1個ですが、栽培品種では、クマガイザクラ、
ヤエベニシダレ、などのように雌しべが2個になっているものや、
それ以上に多くなっているセンダイヨシノ、オオタザクラ、フクザクラ
などのようなものもあります。

またサトザクラの品種の中には、イチヨウ、カンザン、ショウゲツ
などのように、子房と花柱の下半部が小さい葉に変化しているものが
かなりみられます。これがさらに進んで、子房から柱頭まですべて
葉化してしまった品種にマツマエがあります。


2006地元の桜:桜の花







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2007年03月25日

サクラの樹形と樹皮

一般に桜と総称しているものは、バラ科サクラ属サクラ亜属に属する
落葉性の樹木のことです。
サクラ亜属は主として北半球の温帯に分布し、
その分布の中心は中国の南西部になります。

日本には種の解釈にもよりますが、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、
オオシマザクラ、カスミザクラ、エドヒガン、マメザクラ、
タカネザクラ、チョウジザクラ、ミヤマザクラなど
約9種類のサクラが自生しています。


■サクラの樹形と樹皮

サクラ亜属ではふつう高木になるものが多く、
とくにヤマザクラ、エドヒガンなどは大木になることが多い。
一方、チョウジザクラ群、マメザクラ群では低木または小高木です。
ミヤマザクラは高木になりますが、ミヤマザクラ群の
中国産の他種では、高木になるもののほか、
小高木または低木のものもあります。

サクラの樹皮はふつう紫褐色で光沢があり、
横に細長い形の皮目が散在します。
エドヒガン群では老木になると、樹幹の表面にいちじるしい縦裂を
生じますが、これはこの群独特の形質であって、他の群では見られません。
シナミザクラでは樹幹の枝分かれの部分に気根を生じることが多いです。
この特徴はシナミザクラを一方の親とする雑種にもあらわれてきます。

サクラの樹形は、枝が横に広がるものから、斜め上に向かって
のびるものまで色々あり、同一種内でも個体によって
異なることが多いです。

栽培品種では、樹形がその品種のいちじるしい特徴に
なっているものがあります。たとえば、アマノガワでは
枝が真っ直ぐ上に向かってのび、花序や花もすべて上を向き、
全体の樹形は円柱形になります。ホウキザクラ、タイサンフクン
などでは、細かい枝が多数でて上方に伸びるので
ほうきを逆さに立てたような、いわゆるほうき形の樹形になります。
また、カンザンでは枝が内側に湾曲して伸び、全体は盃状の
樹形になりますので、花や葉のない冬期でも見分けることができます。

しだれ型の品種はほとんどの種に見られ、しだれの程度は色々です。
シダレザクラ、モリオカシダレなどでは枝は完全に垂直方向に
しだれますが、シダレコバザクラ、キリフリザクラなどのように
半しだれのものもあります。また、オオカンザクラでは枝先が
波打って横にのびる特徴があり、樹形だけでも見分けることができます。

サクラの枝は、ミヤマザクラ、ヤマザクラ、マメザクラなどのように
細いものもあり、ツクシザクラ、オオシマザクラなどのように
太い枝をもっているものもあります。またミヤマザクラ、エドヒガン
などのように、若い枝に毛のあるものがありますが、
これは種や品種を見分けるための特徴として重要になります。


2006地元の桜:筑波大学のしだれ桜



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